知識の広場
健康経営はどのように広がってきたのか
健康経営は2000年代に誕生し、制度化によって全国に広がり、
今では従業員の健康を企業戦略と捉える考え方が定着しています。
健康経営という言葉は2000年代前半に登場し、NPO法人健康経営研究会によって普及啓発が進められてきました。
その後、2010年代に入ると経済産業省が政策として推進し始め、2014年には「健康経営銘柄」、2016年には「健康経営優良法人認定制度」がスタートします。
こうした制度化の流れを背景に、現在では大企業から中小企業まで幅広く取り組みが広がり、毎年数千社が「健康経営優良法人」に認定されるまでになりました。
社会的にも「従業員の健康は企業価値を高める」という認識が定着しつつあります。
これらの歩みを踏まえると、健康経営とは単なる福利厚生ではなく、従業員の健康を経営資源として捉え、戦略的に管理・推進していく取り組みであることが理解できます。
※ 健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
健康経営とウェルビーイングは同じではない
健康経営は企業主体、ウェルビーイングは従業員主体の健康への取り組みであり、両者が相互に支え合うことで持続可能な経営を実現していく考え方です。
健康経営とは、企業と従業員が共に成長し、相互に支え合いながら持続可能な経営を実現していく考え方です。
従業員が健康で意欲的であることが、組織全体の活力を生み出し、結果として企業の成長につながります。
ここで混同されやすいのが「ウェルビーイング」という言葉です。
健康経営と近い概念として扱われることが多いものの、実は同義ではありません。
関連性は高いですが、異なる側面を持っています。
違いを簡単に整理すると、まず主体の違いにあります。
健康経営は企業が主体となり、従業員の健康を戦略的に管理し、
組織全体の活力を高めることで、生産性や業績の向上を目指す取り組みです。
ウェルビーイングは従業員自身が主体となり、
肉体的・精神的・社会的に満たされた状態を目指す活動。
生きがい・やりがい・働きがいを高めることに重点があります。
つまり、健康経営は企業の戦略であり、ウェルビーイングは従業員の主体的な活動です。
現在の健康経営を考えるうえでは、このウェルビーイングの視点を取り入れていくことが求められています。
今回のブログでは、このうち 「健康経営」 に焦点を当てて解説していきます。
RiDEALの健康経営の具体的な取り組み例
健康経営の基盤づくりとして、まずは健康企業宣言を実施し、銀の認定取得へ取り組みを進めています。
RiDEALでは「健康経営」を、単なる制度や福利厚生としてではなく、従業員一人ひとりのライフスタイルをデザインし、人生の質を高めていくための基盤と考えています。
このコンセプトについては別の記事で詳しくご紹介しますが、本記事では実際に私たちが取り組んでいる具体例をご紹介します。
私たちは健康経営優良法人の取得を目指す第一歩として、「健康企業宣言」を行いました。
この宣言は、従業員の心身の健康を守り、活力ある職場づくりを進めていくことを社内外に示すもので、宣言をすることで、次のステップとなる「健康企業宣言 銀の認定」取得に向けた取り組みが始まります。
スタッフの健康ブログ発信は、社内外に共感を広げながら健康経営を推進し、従業員が健康経営を「自分ごと」として捉えるきっかけにもなっています。
銀の認定を取得するためには、健康経営に関する「11の取り組み分野」があります。
その中から、今回は「職場の運動」「心の健康」に該当する取り組みをご紹介します。
RiDEALスタッフが執筆したブログでは、日々の業務や生活の中で心身の健康を意識する方法を発信しています。
従業員自身が実際に体験し、取り組みを発信することで、同じ職場の仲間だけでなく、
社外の方々にも共感いただける取り組みとなっています。
このような従業員発信のブログは、健康経営を「自分ごと」としてとらえるきっかけにもなり、
社内における意識改革にもつながります。
https://www.rideal.co.jp/uncategorized/2149/
健康経営は経営手法のひとつ
企業だけでなく、人と社会全体で支え合う健康経営をつくり、
生涯現役で活躍できる社会を目指していきます。
健康経営は、単なる福利厚生や社員サービスではなく、企業価値を高めるための戦略的な経営手法です。
そのためには、従業員の健康を「経営資源」として捉え、計画的に管理・改善することで、従業員の活力向上 → 生産性の向上 → 企業の持続的成長 という好循環を生み出します。
経済産業省も「健康経営は企業価値向上につながる経営手法」として積極的に推進しており、財務や人事、マーケティングと同じように、健康を軸とした戦略的マネジメントが重要視されています。
ただし、企業だけで従業員の健康を守るには限界があり、従来の「企業中心」の人材管理だけでは十分とはいえません。
「人と企業」「人と社会」「企業と社会」は相互に影響し合う関係にあり、経営者の判断だけでなく、社会全体と連携しながら相互に支え合う仕組みが求められています。
その基盤となるのが、まさに健康経営という経営手法なのです。
健康経営3.0の時代へ|福利厚生から経営戦略への進化
ここ数年、「健康経営」という言葉を耳にする機会が増えました。
もともとは従業員の健康を守るための福利厚生の一環として始まった取り組みですが、今では「経営戦略の柱」として位置づけられるようになっています。
特に、NPO法人健康経営研究会が提唱してきた流れとして、健康経営1.0、2.0、そしてこれからの健康経営3.0へと段階的に進化していきます。
この進化を見ていくと、健康経営は単なる流行ではなく、社会構造の変化とともに深化してきた経営のあり方であることが分かります。
健康経営をサポートする側に求められる役割
私たちのように運動・トレーニング・身体のケアを提供する立場は、ただ「健康プログラムを導入する」だけでは不十分です。
大切なのは、企業が抱える課題を起点にしたサービス提供だと考えています。
たとえば、
• 欠勤率や離職率を下げたい
• シニア社員の活躍を支えたい
• 働き方の多様化に対応したい
こうした企業の課題に対して、健康経営3.0の視点(HCX=人的資本の変革、高齢化の進化、共創社会の実現)を組み込みながら、具体的な成果を出せるプログラムを設計する。
つまり、サービス提供者は「健康の専門家」でもありながら、企業の戦略パートナーである必要があります。これがサポート側に求められる姿です。
健康経営を実践する企業に求められる意識
一方で、企業側も考え方を大きくシフトする必要があります。
従来の「健康=福利厚生」から、これからは「健康=経営戦略への投資」へと考えていく必要があります。
健康経営を実践する企業は、
• 生産性の向上(ストレス耐性向上、集中力、欠勤率低下、離職率低下)
• 企業価値の向上(投資家へのアピール=人的資本経営の一部)
• 社会的責任の遂行(SDGs・地域貢献・共創社会)
といった形で、健康を人的資本への投資と位置づけることが求められます。
これは単なるコストではなく、企業の成長と社会的価値を同時に高める投資なのです。
共創で描く未来
健康経営3.0の時代は、企業だけで完結するものではありません。
サービス提供者、企業、行政、地域、教育機関、さまざまな主体が「アッセンブリー(組み立て方式)」で共通の目的に向かってつながっていく。
そこから生まれるのが共創社会です。
私たちが目指すのは、運動やケアを通じて「人」の価値を最大化し、企業の成長と社会の持続可能性に貢献すること。
健康を未来への投資と捉える新しい視点が、これからの健康経営の進化を支えていきます。